2021.03.25院長コラム
現在新型コロナ感染症は落ち着いているようですが、今後も引き続き、感染予防に努める日々を送る必要があると思います。
今後は第4波が予想されます。当院ではコロナ感染が疑われる方に唾液PCRの検体採取を行っています。微熱や咽頭痛、咳など症状があり、コロナ感染が心配な方は当院に電話してください。
そんなコロナ状況下、昨年12月自宅で90歳の患者さんを看取りました。自分は10年以上前から外来主治医で、脱水などで入院した際も主治医でした。以前は近所のスーパー近辺でバッタリ会うことが多く、会った時はいつもタバコを買っていました。しかし、2年程前から歩行困難となっていまい、在宅訪問に切り替えました。自宅は自分で建てたとおっしゃており、少々隙間風が吹きますが、自宅が快適と思っておられるようでした。自分は年齢に関係なく、すぐに治る病気はすぐ助けようと常に考えていますが、この方は亡くなるなら自宅が合っているのではないかと思っていました。ケアマネさんも「最期は老衰でそのまま自宅で看取れたらいいですね」と以前から話をしていました。訪問時はいつもテレビに向かってブツブツと独り言をつぶやいているので「大丈夫かな?」と心配していると、急に「ご飯食べた?」「懐中電灯持っている?道が暗いから気をつけてね。」と逆に自分の心配をしてくれました。独居なため、患者さん宅を出る時は毎回後ろ髪を引かれる感じがしましたが、テレビに向かってまた話しかけているので、大丈夫だろうと思って帰っていました。
12月に入り、症状は特にありませんでしたが、徐々に水分・食事が入らなくなりました。入院を勧めましたが、希望されなかったため、自宅で輸液を行なっていました。亡くなる前日、「先生が心配して来てくれた」と話していたと聞きました。翌日朝方ヘルパーさんが訪問すると冷たくなっているところを発見されました。最後は老衰でした。
先日子供の散歩の途中で空き家がどうなっているかと思って訪ねてみると、家はなくなり、土だけになっていました。そういえば、その患者さんは自分の子供が元気かどうかも心配してくれていたことを思い出しました。また思い出に残る在宅患者さんが増えました。