循環器科で扱う疾患
心筋梗塞は日本人の死亡原因の第2位になっている病気です。生活習慣病の一種であり、動脈硬化を基盤として発症します。
高血圧、糖尿病、脂質異常症があったり、また喫煙することで全身の動脈硬化を起こし、脳、首、心臓、腎臓、足の血管などが狭くなったり、詰まったりします。脳、首の動脈が詰まると脳梗塞を起こします。
心臓の心筋細胞に酸素を運ぶ動脈を冠動脈と言いますが、この冠動脈が詰まり、一時的に心筋細胞が酸素不足となることを「狭心症」、酸素不足がひどく、心筋細胞が壊死してしまうことを「心筋梗塞」と言います。
症状としては、突然、左胸部や左肩・首・みぞおちに締め付けられるような痛み、圧迫感がみられます。
心筋梗塞の診断は、症状、心電図、血液検査、心臓カテーテル検査で総合的に判断し、治療は心臓カテーテル治療、薬物療法が一般的です。最近は心臓カテーテルの治療の進歩により治療成績は比較的よいですが、心筋梗塞の壊死の範囲が広いと、心臓のポンプ機能も障害され、心不全を起こしたり、致死性の不整脈を起こしたりします。
心筋梗塞や狭心症にならないためには、原因となる高血圧、糖尿病、脂質異常症の管理がとても重要です。
脈にばらつきがある、速い、遅いなどある時は不整脈の可能性があります。
動悸など症状がある場合と症状はなくても健診で初めて指摘される場合があります。また特に治療する必要がない不整脈もあれば、緊急性があり治療を要する不整脈もあります。不整脈の種類は上室性期外収縮、心室性期外収縮、心房細動など難しい名前がついていて、あまり馴染みがないと思いますが、その中でも特に心房細動は非常に大事です。理由は高齢化とともに年々患者数が増加しており、心房細動があると、心臓の中に血栓ができて、その血栓が頭に飛ぶと脳梗塞を起こしたり、また心不全を引き起こしたりします。心房細動による脳梗塞は広範囲になることが多く、命に関わり、命が助かっても寝たきりになってしまいます。そのため、脳梗塞にならないために、血液サラサラの薬を飲む必要があります。ただ心房細動があっても脳梗塞になりやすい方となりにくい方がいますので、脳梗塞発症のリスクと心疾患の有無を評価した後、血液サラサラの薬を飲むということになります。
また心房細動は動悸や息切れなど症状がある場合と症状がない場合があります。症状があれば、もちろん病院を受診していただき、心電図で心房細動など不整脈がないかを確認しますが、もし症状がなくても脈が不整な場合、あるいは以前健診で指摘されたけど、病院をまだ受診していない場合は必ず病院を受診するようにしてください。
心不全とは,心臓が悪いために,息切れやむくみが起こり,だんだん悪くなり,生命を縮める病気です。
心臓が悪くなる原因は心筋梗塞や弁膜症、心筋症また不整脈などがあります。心臓が悪いかどうかは、まずは心電図をとることでおおよそわかります。あとは胸部レントゲンで心臓が大きくないか、血液検査で心不全の時に上昇するBNP(またはNT-pro BNP)を測定して、心エコー検査を行うことで心不全の有無が確認できます。
心不全は一度発症すると何度も繰り返して、徐々に悪化するため、予防が非常に重要です。
これまで健診でBNP高値、心電図異常、胸部レントゲンで心拡大を指摘されたがある方、または歩行時などに息切れがしたり、下肢のむくみはある方は一度受診してみてください。心不全がないかどうかをチェックしてみましょう。