2020.05.27院長コラム
先月の「院長の一言」で2020年11月に開催される予定であった長崎平和マラソン大会について書きましたが、残念ながら大会は1年後に延期になってしまいました。ただ新型コロナウイルスの新規感染者数は減少傾向になり、ひとまず安心しました。しかし、今後も第二波が来ると言われているので、気を緩めずに診療にあたりたいと思います。
今月は在宅での看取りが1件ありました。60歳代の方で肺癌末期でした。入院中の病院から本人が自宅に帰りたいとの強い希望があるため、当院に在宅医療の依頼がありました。自宅では本人と介護者である奥さんの二人暮らしであり、本人は骨転移と皮膚潰瘍による疼痛がありましたが、麻薬などの鎮痛薬で概ねコントロールできていました。退院する前、奥さんは介護をしてあげたいと思う一方、自宅でどういう介護生活になるのか不安を感じておられるようでした。
退院した後は、夜間のせん妄、不眠が出現し、訪問看護、薬剤師さん達にサポートしていただき、内服薬の調整を行いました。調子がいい日はデイケアにも行くことができて、後日楽しかったと本人はお話されていました。介護する奥さんも大変だったと思います。自分も訪問する毎に奥さんに現在の病状、内服薬の効果、予後などについて説明し、できる限り不安が取り除けるようにと心がけました。
自宅に帰って約1ヶ月過ぎた頃に意識がなくなり、しばらくして永眠されました。奥さんからは感謝の言葉をいただきました。訪問看護の方も自宅で看取りができて、満足されていました。在宅の看取りは自宅で過ごしたいという本人の意思、本人を支える家族のサポート、また本人と家族を支える訪問看護、薬剤師、医師などのサポートがとても大事です。さらに在宅医療に関わった人たちが全員自宅で看取りができてよかったと思えることがとても重要です。
今後も在宅医療にも力を入れていきたいと思います。